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「止めろ、四之宮!!」
湊都さんがそう叫ぶが、彼女はこちらを振り向くことはない。
もう僕達の声は彼女に届かないのか……。
痛む腹部を押さえ、僕は立ち上がる。
「走れるか?!ひよっこ」
返事をする間もなく、湊都さんに手を引かれ僕は走った。
目の前を走る悪しきモノが桜に辿り着くまで、あと数メートル。
ニヤリと口角を上げて悪しきモノは笑う。
悪しきモノが桜花精に触れようと手を伸ばす。
指先が桜花精に触れようとした瞬間――。
バチィイィイッ!
「ギャアァアァアァッ!!」
「?!何が起こったんだ……?」
桜花精に触れようとした指先から電流が流れ、悪しきモノを跳ね飛ばした。
何かの壁に守られたように。
桜花精の手には朝、僕が渡した護符が握られていた。
「あ……」
ようやく桜まで追いつき、僕は一つのことを思い出す。
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