*第一話*桜花を鎮静せよ!

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「止めろ、四之宮!!」 湊都さんがそう叫ぶが、彼女はこちらを振り向くことはない。 もう僕達の声は彼女に届かないのか……。 痛む腹部を押さえ、僕は立ち上がる。 「走れるか?!ひよっこ」 返事をする間もなく、湊都さんに手を引かれ僕は走った。 目の前を走る悪しきモノが桜に辿り着くまで、あと数メートル。 ニヤリと口角を上げて悪しきモノは笑う。 悪しきモノが桜花精に触れようと手を伸ばす。 指先が桜花精に触れようとした瞬間――。 バチィイィイッ! 「ギャアァアァアァッ!!」 「?!何が起こったんだ……?」 桜花精に触れようとした指先から電流が流れ、悪しきモノを跳ね飛ばした。 何かの壁に守られたように。 桜花精の手には朝、僕が渡した護符が握られていた。 「あ……」 ようやく桜まで追いつき、僕は一つのことを思い出す。
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