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朝、僕は……。
――結界や守護の力を補強したので、しばらくは大丈夫だと思います。
父の護符を桜の木に張り、周囲を囲むよう結界を強化したのだった。
「結界と護符か」
チラリと横目で僕を見た湊都さんが言う。
その返事に僕は苦笑しながら、「はい」と答えた。
ギリリリリと跳ね飛ばされた悪しきモノが音を立てる。
媒体としている四之宮さんの制服は乱れ、ところどころ裂けていた。
もう、四之宮さんの体はいっぱいなはず。
「桜ガ憎イ……憎イ……!」
悪霊と言えど、媒体が動かなければ意味がない。
今回、四之宮さんに憑いた悪霊は憎しみの心を糧として動いていたようだ。
もだえている悪しきモノを一瞥し、僕と湊都さんは武器を握る。
「ひよっこ。これで最後だ」
「はい」
「ヘマすんなよ」
そう言って湊都さんは呪符を飛ばす。
悪しきモノが最後の抵抗として瘴気を撒き散らし、牙をむく。
牙は湊都さんを避け、桜花精の結界に当たった。
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