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結界が砕ける。
桜花精が悲鳴を上げる。
「ひよっ……こ!!」
僕は呪を謳い、鎮静の言霊が悪しきモノを捕らえた。
ガクガクと四之宮さんの体が崩れ落ちていく。
黒い瘴気が体内から抜けていく。
それをすかさず湊都さんは掴み、
「闇夜の世界に還れ」
と、剣を突き立てた。
崩れ落ちた四之宮さんを僕は支え、心の闇に落ちた彼女に言葉をかける。
ポタリと四之宮さんの目から涙が一滴、頬を伝った。
「四之宮さん、もう分かっていたんですよね?こんな事をしても虚しいだけだって」
「……」
彼女は答えない。
それでも僕は話しかける。
闇から抜け出すのは彼女自身で、僕はその手引きをするまでだから。
手を握り、彼女の心と同調を試みる。
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