*第一話*桜花を鎮静せよ!

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心配してくれたのね。 ありがとう。 でも、私が望んでいるのは依咲君じゃないのよ。 私は――……。 「一緒に帰りませんか……?」 どこに。 私を待っている人はいないの。 待ってもいないのよ? 「そんなことありませんよ。貴方を思う人がちゃんと待っています」 確信がないくせに。 「僕は嘘を言いません。信じてみて下さいませんか……?」 彼がそう言った瞬間、闇が一層深く増した気がした。 私の体を取り巻くような、飲み込むような。 このままここにいれば、闇と同化してしまうのかな? 怖い。 怖いよ……。 「大丈夫。僕が掴んでいますから」 ギュッと依咲君は私の手を掴み、ニコリと笑う。
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