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視界がぼやけ、意識がはっきりしない。
しかし私の体を支え、心配そうに顔を覗き込んでいたのは……。
「お、父さん……?」
紛れもない私のお父さんだった。
チラリと依咲君を見れば、
「ほら、待っていたでしょう?」
と笑いかける。
信じていなかったのに。
いや、心のどこかで信じたかったのかもしれない。
けれど、そんな考えは二の次で。
今、現実にお父さんが目の前にいることは確かだった。
「っ、お父さんっ……!」
「さくら」
久々に感じる父の体温、声、包容力……。
全てが懐かしく、小さかった頃の記憶が頭を過ぎる。
しっかりと私を支えてくれる父の存在に安心し、私はそのまま意識を失った。
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