*第一話*桜花を鎮静せよ!

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僕と湊都さんは残った仕事を片付けるために、桜花精の前に立つ。 傷付いた樹体に塩水と御神酒をかけ、護符を貼った。 原因となった瘴気は見えないほどに薄れている。 数日後には霊力も回復し、元通りの桜花として咲き誇るだろう。 「これで大丈夫だと思います」 僕がニコリと笑いかけると、応えるように桜花精も笑った。 『……有難う、小さな術使い達』 「やっぱりついで扱い……」 そんな湊都さんを見て、僕と桜花精はクスリと笑う。 「さて、帰りましょうか」 湊都さんは返事を返さなかったけど、スクッと立ち上がり頷く。 いつの間にか青年が横にいて、僕の鞄を差し出した。 「有難う御座います」 ペコリとお辞儀をすると、礼儀正しく青年も返してくれる。 「行くぞ」 「はい」 僕は桜花精にお辞儀し、湊都さんの横を歩いた。 「仕方無ぇから途中まで送る」 「え、いいんですか?」 「あぁ」 帰り道、僕と湊都さんは他愛も無い言葉を交わして夜道を歩く。 空には三日月が浮かび、一片の花びらが風に吹かれ舞っていた。
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