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湊都さんが手招きし、僕はその横に腰を下ろす。
四之宮さんの方を向くと、彼女はニコリと笑ってくれた。
偽りの無い自然体な笑顔。
お父さんとの関係が上手くいっているのだと分かる。
「元気そうで良かったです、四之宮さん」
「うん。もう平気よ」
そう言って再び四之宮さんは笑った。
「二人にお礼が言いたいの」
鞄から綺麗にラッピングされた包みをそれぞれに手渡す。
包みから甘い優しい匂いがした。
「本当に助けてくれてありがとう。自分でもなんだか分からなくて曖昧な部分もあるけど、二人のおかげでお父さんと一緒に笑える」
照れたように四之宮さんは微笑み、僕達も自然に笑みが零れた。
「あの後ね夢を見たの。お父さんと同じ夢を見たのよ」
家族三人で遊ぶ夢。
とてつもなく幸せな時間。
「お母さんが言った言葉は今も耳に残ってる」
そう言って、四之宮さんはゆっくりと目を伏せた。
「お母さんは私とお父さんに……」
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