*第一話*桜花を鎮静せよ!

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(父さんは何が言いたかったのだろう……?) 学校へ向かう道中、先程の言われたことを歩きながら考える。 父があんな風に遠回しで物事を言うときは、何かあるときだ。 核心は言わず、考えさせる。 「……小桜はどう思いますか?」 僕は隣を歩く女性に声をかけた。 「私には……何とも言えません」 小桜(コザクラ)と呼ばれた女性は苦笑気味にそう答える。 スーツを身に纏い、腰までの長い髪を一本に束ねていた。 外見は二十代前半で、お姉さんと言っても良いだろう。 普通に見たら彼女はただのOLで、弟と一緒に歩いてるだけ。 だけど彼女は僕の護衛で、 ──人間じゃない。
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