*第二話*雨夜、燐火灯る時に

2/24
前へ
/84ページ
次へ
――……シトシト、シトシト。 雨粒は 止むことなきに 降りしきる 燐火現る 梅雨の夕暮れ 「ったく、梅雨ってのは雨だらけで嫌になるぜ」 住宅街を赤い車が通る。 空からは大粒の雨粒が車体を叩くように降っていた。 雨雲は灰色と化し、滝のような水が急に落ちる。 「うわっ、スコールかよ!?さっさと帰りてぇ……」 車が直線に差し掛かったその時。 「……?!」 目の前に――――。 「っ、ひっ……うわあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!」 キキィ――ッ!ガシャ――ンッ! 車は電柱にぶつかり、もくもくと黒い煙を吐き出していた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加