*第二話*雨夜、燐火灯る時に

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俺は二つ目のサンドウィッチを手に取り、一口頬張る。 「だって怖いじゃんか!事故現場が通学路なんだぜ?!」 一瞬、手からサンドウィッチを落としそうになった。 涙目で俺に抗議しかけてくる友人(仮)。 頼みごとは朝の内に聞いていた。 聞いて内容も把握していたつもりだった。 分かっていたのに、脱力するのは何故だろう? 「……お前は女子高生かよ」 「怖いものは怖い!俺が事故に巻き込まれたら靜、泣くだろ?!」 その根拠がどこから出てくるのか、是非教えて欲しい。 俺は心底溜め息を吐き、手で顔を覆う。 チラリと指の隙間から友人(仮)を覗けば、目に涙を溜めて捨てられた子犬のような――。 そんな表情をしていた。 「分かったよ」 「え?」 俺は半ば諦めたように友人(仮)に話しかける。 「七月一日まで……もしくは事故とやらが無くなったら終わりだからな」 頼みの承諾後、俺に抱きつこうとする友人(仮)を殴ったのは言うまでも無い。
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