*第二話*雨夜、燐火灯る時に

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「……ていうかお前、怖いっていうなら朝どこを通ったんだよ」 「ん?普通に通学路だけど。事故現場の前を通って」 もう、頭が痛い。 朝、通ってきたなら俺は必要ないのではないだろうか? 「だったら……」 一人で帰れたんじゃないか?と俺は内心思う。 「まぁ、急いでたからそん時は事故現場って忘れてたけどな」 はっはっはっと隣で笑う秋を横に、俺は頭を抱えた。 (こんなのが幼馴染でいいのか、俺……) はぁ、と深い溜め息を吐いて秋の方を見る。 すると、さっきまで笑っていた顔に笑顔は無かった。 「アキ?」 前方を見据えて秋の足が止まる。 つられて俺も前方を見ると、目に入ったのは事故現場の電柱だった。 道はトの字型になっていて、俺達の家は真っ直ぐ進んだ先にある。 事故が起きたのは丁度、直線と右から伸びた道路がぶつかった点にある電柱。 確かに、家から学校に行き来する際に必ず通らなければならない道だ。 しかも事故があった電柱のすぐ横を。
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