*第二話*雨夜、燐火灯る時に

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雲行きが怪しい。 ザァッと気味の悪い風が吹き抜ける。 …………っ……ひっく…… 「な、なんか泣き声っぽいのが聞こえ……」 「……面倒臭い……」 チラリとアキとポケットに入っていた携帯を見やる。 サイドボタンで時刻を確認すると、十六時三十分を回った頃。 徐々にだが、アレが集まりつつある時間帯だ。 しかしアレとこの泣き声の関連性はまだ分からない。 未だ電柱を凝視している秋に声をかけた。 「アキ」 視線だけこちらに向ける秋の表情は怯えきっている。 怪談だのホラーだの一般なものには恐怖を感じないくせに、秋は勘が鋭い。 霊媒体質、というかそういう類に秋は敏感だ。 「靜、アレ……」 電柱には黒い影がいた。 「(せっかく気付かないフリしてたんだけど)」 秋が気付いてしまったのは仕方がない。 傘で前方を隠し、グイッと秋の肩を引き寄せて耳打ちする。 「いいか?前を歩くことだけに意識を集中。面倒なことになりたくないだろ?」 コクコクと隣で頷く秋の腰に手を添える。 秋の足が小刻みに震えていることから、足がすくんで前に進めないことが予想出来た。
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