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瘴気は近い。
そして、異様に充満しているように感じた。
例えるなら、鞄の中にお菓子を入れて鞄中にお菓子の臭いが染み付いた様な。
近すぎて瘴気の元が掴めない。
ギュッと目を瞑り、意識を集中させる。
「靜?」
心配そうな声音で話しかけてくる秋。
(瘴気は秋の)
………………右側……?
バッと秋の右側に目を向ける。
驚いて目をパチクリさせる秋の右腕に、黒いモヤのような瘴気の塊がくっついていた。
瘴気の塊がはっきりと具現化し、ジロッっと俺を見る。
「っ!」
「靜?」
瘴気に一瞬、気を取られ秋の存在を忘れた。
秋は俺が見ている自分の右側に首を向ける。
「馬鹿、見るな!!」
具現化した瘴気は手へと変わり、秋の右腕と右肩を思いっ切り掴んでいた。
そして視えたのは、
目から真っ赤な涙を流した
……女だった。
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