*第二話*雨夜、燐火灯る時に

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「ひっ……!」 「蒼生(ソウ)!!」 俺はすぐさまパートナーである式神を呼び、女へ向かわせる。 彼が秋から女を引き剥がし、対峙している間、俺は秋の肩を見た。 手荒だがブレザーとワイシャツを一緒に脱がし、秋の肩を見る。 肩には浅黒い指の痕が浮かんでいた。 「ちっ……」 服を元に戻し、アキの顔色を窺う。 ガタガタと体は震え、目は恐怖で定まっていなかった。 肩に手を添えて名前を呼ぶ。 「……っ、ひっ……」 多少、瘴気にあてられたのもあるのかもしれない。 今、目の前にある現状も誰がそばに居るのかも秋は分かっていない様子だった。 「アキ!!」 俺は秋の頬を両手で挟み、目と目を合わせる。 ようやく秋は目の前に居るのが俺だと分かったようで、小さく唇を震わせた。
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