半年前~草野健太~【1】

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幼いころ、健太と翔子には「三上安美」という共通の友人がいた。 二人と彼女は、いつも三人でつるんで遊んでおり、親友といっても差し支えない存在だった。 大人になっても変わらぬ友情を育んでいけると信じていたし、あの事件がなければ実際そうなっていただろう。 だが、彼女は殺害されてしまった。 おぞましい殺人鬼、戸隠鋭児によって。 「やっと、死刑執行されるんだね」 翔子が、ぽつりとつぶやく。 20人もの少女の人生を理不尽に奪っておきながら、それを為した人間は刑務所の中で10年も生かしてもらっている。 その現実は、健太と翔子を、そして被害者遺族たちを大いに苦しめていた。 逮捕された後も不遜な態度を崩さず、反省の弁すすら見せないあの男に、何度憤りを覚えたかわからない。 せっかくのデートも、今日は楽しめそうになかった。
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