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「でも、未だにわからないよ。どうしてあんな残酷なことができるんだろう……!」
健太が苦々しげにぽつりと呟く。
再燃した怒りは、簡単には収まらないのだ。
「小さい女の子が好きな性癖があるっていうのは……理解してる。でも、その子達を殺すことに快楽を感じる人間の事なんて、俺には全くわからないよ」
「そうね……」
翔子が悲しげに俯く。
幼い頃、突然安美が殺されたという現実はあまりにも非現実的過ぎて理解ができなかった。
昨日まで、普通に遊んでいた友人の笑顔が、もうみれないのだ。
ようやく事態を把握したとき、二人は泣いた。
ただひたすらに泣き明かすことしかできなかった。
泣いても泣いても、安美が戻ってくることはない。
あまりに理不尽な別れを、二人は最悪の形で味わうことになったのだ。
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