半年前~草野健太~【1】

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「でも、やっぱり納得いかないよな。人を殺した人間が10年も生かされてるなんて……。安美はあの日、人生を終わらせられたのに……」 健太が悲痛な表情で言葉を漏らす。 言ってもどうしようもないことなのだから、封印していた文句だ。 だが、やはり納得いかない。 その気持ちに、翔子も同調した。 「うん……。本当にそうね……」 その瞳には怒りや戸惑いのほかに、不安も見て取れる。 戸隠は多くの少女を暴行し、殺害した。 そういう人間が、今もどこかで生きているということが不安なのだろう。 女性というものは、そう考えるのかもしれない。 健太はそう感じた。
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