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彼女はこちらに気付くと、ピクリと身を震わせた。水面に、彼女を中心とした輪が広がる。
恐怖のためか、はたまた絶望のせいか。見開かれた瞳は、真っ直ぐにこちらを射抜いていた。
彼は朱に染まった手を水面で洗い流し、彼女にそっと手を伸ばす。
そう、こんな不浄な血液と内臓片で彼女を汚してはならない。
びくっと身体を跳ねさせて怯える彼女を、彼はそのまま抱き寄せた。
普段の彼であれば、迷わずその未発達な性器を貫き、涙と絶叫で歪んだ顔に拳を打ち付け、朱に染め上げられた胎内へ精を放ち、そのまま彼女をズタズタに引き裂いて壊すのだろう。
しかし、今の彼はそんな気分にはなれなかった。怯える彼女に笑顔を向け、その白い身体を灰褐色に染め上げる汚泥を、丹念に舐めとる。
舌が触れる度に小さく声を漏らす彼女がいとおしかった。
白い肌が上気して、吐息は艶を帯びる。
汚泥が剥がれ、段々と裸身が晒されていく。
だが、不思議と彼は、いつものように邪な感情を抱くことは無かった。
今、この瞳に映った少女を、永遠のものにしたい。
そんな滑稽ともいえる想いが、ただただ心の中に沸き上がっていたのだった。
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