月詩

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【無題】 目を閉じたら そこには 今にも触れられそうなぐらい はっきりと君の姿 伸ばしたあたしの手は 空を切ったのに 誰かのせいじゃない 誰かのせいにしたくない 二人の世界を壊せるのは 二人しかいない 真実は悲しいね オレンジの光差し込む窓 揺れるのは二人の影 チャイムが空気を裂いたのは もうこれ以上 見てるのが痛々しくなったから この時泣いたのは誰 この時笑えたのは誰 そんなことはどうだっていい 最後の君すらしっかりと 目に焼き付けようとする あたしを いつもみたいに笑ってよ 壊れた世界の欠片を 拾いあつめて 空に掲げたって 戻らないことは分かってる お願い もう少しだけ
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