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ネバーランドを離れて、早12年が経ちました。
船長、あなたはどこに行ってしまわれたのですか?
懐かしいなぁー、フック船長、スミスさん、その他の名前がない人達。
皆と一緒に過ごした時間は、俺にとってかけがえのない時間でした。
ありがとうございます。
今更、こんな手紙を船長に送ったのには訳があるんです。
聞いてもらえますか?
すみませんでした。
先に謝っときます。
船長の右腕を食べちゃった、憎っくきワニ。
あのワニの事について謝らないといけない事があるんです。
あのワニをネバーランドに連れて来ちゃったのは俺なんですよ。
本当にごめんなさい。
ネバーランドに来て一ヶ月が経ったくらいの時、俺ホームシックにかかって日本に帰っちゃたじゃないですか?
あの時、今後の在り方について悩んでて、このまま中学、高校、ましてや大学も行かずに海賊一本でやっていくのかって。
今思うと、12歳だった俺には重たすぎる話でした。
それで、悩んだ結果、放浪の旅をしていました。
その時出会ったのが『豆太郎』だったんです。
熱海を通りかかった時に、バナナワニ園の看板が目に飛び込んできました。
運命だったんだと思います。
気がついたら、入園料の650円を握り締めていました。
『豆太郎』に出会った瞬間、胸が「キュン」ってなったんです。
その後の事は、未だにはっきり思い出せません。
気がついたら、俺は『豆太郎』を抱いて走っていました。
二人での逃避行の旅の始まりです。
この話はまた時期をみてお話します。
当時の日本では、俺と『豆太郎』の話題で持ち切りでした。
【12歳の海賊少年A、大人気者のワニの『豆太郎』を強奪】
こんな記事が新聞の見出しを躍って(おどって)いましたよ。
それで、どうしようもなくなった俺はネバーランドに戻る事を決意しました。
その俺の決断があんな悲劇を呼ぶ事になるなんて...
すみませんでした、心の底からすみません。
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