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敷島かえでは、その日の朝、心が踊っていた。
高校卒業以来、六年振りの同窓会に行く予定だったからだ。
今まで何回かは、開かれていた。だが、そのたびに仕事との調整がつかず、参加出来ずにいた。
(皆、変わってるんだろうなぁ。六年だもの)
かえでは大学卒業後、出版社で働いていた。
ごく平凡な人間ではあったが、性格が穏やかで素直だった。だから多くの友達に囲まれていた。
今の幸せは当たり前の事だと思っていた。
(私は華やかな事には、縁はないけど幸せよ。そう、これからもずっと……。あとは素敵な人と出会えたらな)
かえでは、高校の同級生だった櫻井飛鳥が、ずっと好きだった。
華奢な少年で、驚く程、透き通った綺麗な瞳をしていた。
女の子達から【天使の瞳】と呼ばれて人気があった。かえでも、そのうちの一人だった。
飛鳥は幼なじみの藤原太一といつも一緒にいた。太一は野球部のキャプテンで、男女を問わず人気があった。
すっきりとした筋肉質で、繊細な顔立ちの太一と、小柄だがバランスの良い体型の飛鳥が二人でいると、とても美しい。
かえでは、二人を眺めるのが好きだった。
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