その日の朝

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昼休み、窓際で二人が話していると、一枚の絵を見ているようだった。 日だまりで二人が、ニコニコと話していて、穏やかな風がカーテンを揺らす。 その二人の世界には、誰も入ってはいけない。 かえでを含め、クラス全員が、そんな暗黙のルールを感じていた。 ただ一人を除いて。 その一人とは、香久山麗子だった。 香久山家は、かえでの祖母に言わせれば 「昔なら、お前達は話もさせてもらえないよ」 ぐらいの由緒正しい名家だそうだ。 山の手の大豪邸に住む麗子は、誰よりも綺麗で頭も良かった。 誰も彼女にかなわないし、逆らえなかったのだ。
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