562人が本棚に入れています
本棚に追加
あれは…、
タライの水に、まるで墨をこぼした様な真っ黒な雲が急にたちこめて…、
にわかに空が泣き出しそうな――、
そんな、お彼岸の、お中日だった。
ねっ!ねねねねね――!
どう?この出だし!
どう?
いかにも~って―、感じ、出てる?
えっ?
早く話を?
先に、進めろって?
解ったよ! 😔..
ちぇッ!
いい感じだったのに・・・・。
まっ、いいや!
オイラが、仕事のテリトリーとしているこの街は、
千葉でも都心よりで江戸川を越えると東京という位置関係にある。
街外れには―、
青山や玉川霊園に負けない程の広大な敷地の霊園を抱えていて、
お彼岸の時期にはかなりの人が出てその霊園につながる道が渋滞を起こす程だ。
その日も―、
昼間は、霊園までのお客を駅から何組も乗せた。
そして、日が暮れ―、
やっと、ひと段落。
オイラは駅前で仕事帰りの客を乗せようとタクシーのドアを開け―、
タクシー乗り場の花番(客待ち車列のトップ)で、ハンドルを握っていた時、
そう…、あれはそんな―、
お彼岸のお中日だった。
ん?
えッ!なんか…、
臭う…ぞ?
ウウッッ!クサイッ!
何?、このけむりッ…?!
「うわ――――ッ!
おッお客さ―――ん!」
オイラは、漂って来るその煙の出所を知って―、
驚愕!
いつの間に、バックシートに、老婆が座って居た!
当然、ドアを開けてあったのだから―、
それだけなら…、
勿論、驚きはしない。
ただ、その、老婆の様子が尋常じゃ―、なかった!
最初のコメントを投稿しよう!