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その夜は随分と仕事が暇な晩だったなァ―、
たしか―、
オイラが、駅近くのガード下で屋台を出してる馴染みのマズ~いラーメンを食ってる時だった。
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎵
急に!オイラの携帯が鳴ったんだよね!
えッ?
電話は―、急になるもんだってかァ?
あはっははははははは!
ま~まッ、そんな固い事いうなよ…
ちなみに、着メロはアンパンマンだぜ!
📲ピッ!
「ふぁい、もひもひ~。
鬼ふぁあらだ…!」
電話の相手は友人のフイリピン人の男だった。
「…ふん!ふん!ふん!
え――ッ!何?
産まれるのォ?
分かった!分かった!
待ってろ!直ぐ行く!!!!」
「――産まれるゥって!
鬼チャン…赤ん坊かい?」
屋台のオヤジ、おカマの武ちゃんが、目んタマをまん丸くして湯気の向こうからオイラに聴く。
「悪いね、武ちゃん…!
残しちゃうけど―、オイラ行くよ!」
慌てて立ち去ろうとしたオイラに、武ちゃんが!
「あッ!おッ、鬼ちゃん!
おッおおお、勘定!
おかんじょう――!」
「あ―――ッ!全く~
面倒くせ―なぁ~!
たまにはタダにしとけよ」
「あたしには―、タマなんかァな―いのォ―!ざ~んねん!
そういう訳にはいかないわよ!商売なんだから―」
「お前さんには―、
情けっちゅうもんは、
ねーのか…、鬼め!
ほれ!千円!」
「お黙り!鬼は、そっちでしょッ!」
オイラは武ちゃんの罵倒を背にタクシーに乗り込むと、
セルを回しエンジンをかけると―、
ギアを、ドライブにねじ込んだ~瞬間!!!
ドッカ――――ン!
と、アクセルを床まで―、
ぶっ込んだァ――――!!!!!
!
キリキリッ!キリキリッ!!!
タクシーのタイヤは煙を吐き!
脱兎の如くすっ飛んだ!
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