エピソード2⃣     ―金曜の夜に―

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花金。その言葉を聞くだけで…、 大概の若者達が、会社や学校、その、それぞれの場所で―、 『ひょっとしたら…』 と――、 今夜、起きるかもしれないハプニングを期待して、 その当日の昼過ぎ辺りから、 そわそわ! ワクワク!…を、 心の内に秘めている。 とっくに、中年の仲間入りを済ましたオイラでさえ、昔の名残りなのか…(?)、それにつられて、 意味も無くデレッとしてしまうのだからー―、 世の、熱~い!カップルともなると、尚更である。   そして、その花金の夜。 巷で起きるであろう怪しい?、ハプニングの影響が―、 我々、タクシーのドライバー達にも…、 ジワジワジワッ! っと、忍び寄って来るのだ・・・・・・。 『えッ!ラブ・ホテル?!!』 と、オイラ…、 危うく、大口を開けて叫びそうになったくらいだ! 『まさか・・・・・』 今一度、ルームミラーでそれを確認した! 何故なら―、 駅前で乗せた二人が…、 何と言うか…、 若い、男同士の…カップルだった―。 勿論、普段から偏見を持ってるつもりは無い。…が、 さすがに、ご本人さんに遭遇して―、 「――どっかラブホ、へ」 等と、耳にすると…、 行く年、様々なお客を乗せた…、 百戦錬磨のオイラでも、 ちぃ―とばかし―、 偶発的なその状況に…、 動揺してしまうのもムリは無い。 ん? あはっははははは~ッ! 何が言いたいのか―、 書いてるオイラも訳が解らなくなっちまった! すまん! 話を、本筋に戻そう…。 で――、 「お客さん。場所はお任せで―、構いませんか?」 「お願いします…」 オイラは、心当たりのホテル街へとハンドルの先を向けた。 そして、国道を東に走らせていると―、 バックシートの一人が、 オイラに聞いて来た。 「運転手さん、後、何分くらい、かかりますか?」 「ん―っと、15分もあれば…」 「そうですか…。 運転手さん―、一応 言っとくけどさぁ…俺達、ゲイじゃないよ―。ただ、眠くって…ね」 「はい…」 そんな事…、オイラは聞いてないし―。 「あっ、そうだ!お客さん!今夜は―、金曜ですよね! ああ…、まいったなぁ…。 すっかり忘れてた! 満室でなければ、いいですけどねぇ…」  
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