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花金。その言葉を聞くだけで…、
大概の若者達が、会社や学校、その、それぞれの場所で―、
『ひょっとしたら…』
と――、
今夜、起きるかもしれないハプニングを期待して、
その当日の昼過ぎ辺りから、
そわそわ!
ワクワク!…を、
心の内に秘めている。
とっくに、中年の仲間入りを済ましたオイラでさえ、昔の名残りなのか…(?)、それにつられて、
意味も無くデレッとしてしまうのだからー―、
世の、熱~い!カップルともなると、尚更である。
そして、その花金の夜。
巷で起きるであろう怪しい?、ハプニングの影響が―、
我々、タクシーのドライバー達にも…、
ジワジワジワッ!
っと、忍び寄って来るのだ・・・・・・。
『えッ!ラブ・ホテル?!!』
と、オイラ…、
危うく、大口を開けて叫びそうになったくらいだ!
『まさか・・・・・』
今一度、ルームミラーでそれを確認した!
何故なら―、
駅前で乗せた二人が…、
何と言うか…、
若い、男同士の…カップルだった―。
勿論、普段から偏見を持ってるつもりは無い。…が、
さすがに、ご本人さんに遭遇して―、
「――どっかラブホ、へ」
等と、耳にすると…、
行く年、様々なお客を乗せた…、
百戦錬磨のオイラでも、
ちぃ―とばかし―、
偶発的なその状況に…、
動揺してしまうのもムリは無い。
ん?
あはっははははは~ッ!
何が言いたいのか―、
書いてるオイラも訳が解らなくなっちまった!
すまん!
話を、本筋に戻そう…。
で――、
「お客さん。場所はお任せで―、構いませんか?」
「お願いします…」
オイラは、心当たりのホテル街へとハンドルの先を向けた。
そして、国道を東に走らせていると―、
バックシートの一人が、
オイラに聞いて来た。
「運転手さん、後、何分くらい、かかりますか?」
「ん―っと、15分もあれば…」
「そうですか…。
運転手さん―、一応
言っとくけどさぁ…俺達、ゲイじゃないよ―。ただ、眠くって…ね」
「はい…」
そんな事…、オイラは聞いてないし―。
「あっ、そうだ!お客さん!今夜は―、金曜ですよね!
ああ…、まいったなぁ…。
すっかり忘れてた!
満室でなければ、いいですけどねぇ…」
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