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今日の勉強も終わり、さっさと帰りの準備を済ませた。
窓から見える空ももう真っ暗だ。
早く家に帰って飯を食いたい…
教室を出て、階段を降りたら綾小路が仁王立ちで待っていた。
(あいつ、何でいんだよ…)
「なんですか…」
「輝矢、さっきの先生への口の利き方はないんじゃないかな?」
顎をやや上にして、綾小路が妖しく微笑む。
「勉強の妨げになるから本音を言っただけです」
綾小路を押し退けて帰ろうとしたが、腕を強く掴まれた。
「痛っ」
「俺に刃向かうなんて10年は早ぇなあ」
「やめっ…やめろっ!」
掴んだ手を引き剥がそうとしても、大人の力には敵わない。
腕をグッと引っ張られ、塾と隣のビルの隙間に連れ込まれた。
まさか…殴るのか?
殴れるもんなら殴ってみろよ。
すぐにお前なんか仕事クビになるぞ。
俺は冷静に向かいにいる綾小路を睨んだ。
「俺を殴るんですか、先生?殴るなら早く殴ればいいじゃん」
「…その悪い口はどうにかしなきゃならねえな」
溜め息混じりに言葉を吐くと、綾小路は俺の唇に強引に口づけた。
「んんっ…」
何度も角度を変え、俺の口の中へ深く舌を入れ込んでく。
苦しい…
「っはぁ、はぁ、はぁ」
「口の利き方がなってないときは、いつでも躾てやるからな」
「二度とすんな馬鹿野郎!」
俺は…
男にキスされた……?
まだ誰ともキスしたこともないのに…
初めてのキスが男とだなんて…
どうして…
どうして…!
俺は綾小路に背を向けて、急いで家に帰った。
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