存在

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怜にとって、それからの日々は地獄だった。   それまで親しかった友人からも孤立し、悪意のない悪意に身も心も崩れてゆく   瞬きし、瞼を開けた瞬間に、今まで広がっていた現実が、怜の全ての世界が 一瞬で崩れ墜ちてゆく  "知られてしまった秘密"   ナゼ?   なんで?   そんな疑問など無意味な程のスピードで、悪意が胸の奥に突き刺さる   それまで―― 自分が異性ではなく、同性に恋をした―――   その事に小さな違和感は感じてはいたが、真剣に悩んだりなどしなかった―――   ただ   人に出逢い   その人を知り   気付く間もなく恋に落ちる   恋とは、それ程に自然なモノ   恋愛の経験などなく、恋をするとゆうこと 人を愛するとゆうことすらはっきりと見えていない 生きるとゆう意味での経験も未熟な程に少年はまだ幼なく   そんな世界で生きる少年に、なにをどう考え、悩み、真剣に未来を描くことが出来たのか?   出来る訳などなかった―――   そこにアルのは、想い なんの理由もない 意味をつける必要もない   純粋な   しかし世界とは、人とは、そんな少年の想いすら簡単に汚す       あれは―――怜が小学校最後の冬休み   仲の良い友達が、怜の家に泊まりに来た日のことだった―――   お泊まり、自然と普段よりもテンションが高くなる   修学旅行にも似た感覚だったのだろう   夕方近くまで楽しく遊び、次第にふける夜の闇とは逆に、怜達の胸は楽しさに満ちてゆく   布団に入ってからも、普段なら睡魔に落ちている時間を過ぎても話しは尽きることがなかった。   そんな空気の中、友達の一人が笑みを浮かべながら口を開いた。   「ねぇ、いま好きな人っている?」   (修学旅行定番ランキング第一位の質問ですよ)   恥ずかしそうにしながらも、最初の一人が答えると「内緒だよ」っとこれまた定番の釘をさしてから応えてゆくもの♪♪   「あっ、〇〇可愛いよねぇ」   「えっ、お前もなの!! オレも好きなんだよねっ」   この時期の子供は、大抵一人ではなく💦💦 複数の女の子の名前をあげるのは当たり前で💦💦 中には「それ多すぎ」なんてツッコミいれたくなる仔もいたりして―――
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