存在

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教室から聞こえてくる笑い声   いつしか、その全てが僕に向けられているような錯覚さえ覚える―――   同性愛   僕自身…解らないこと…   確かに、僕の中では男の仔に惹かれたことはある…   一緒に遊んで楽しいとか、一人の時に思い出したり、たまに不思議とドキドキしたりなんかも   …でも  "恋"なんてしたことなくて、してたとしても自覚なんかなくて…   男の子を見てカッコイイなぁ~   女の子を見て可愛いなぁ~   そんな程度…   でもイキナリ💥 自分でもはっきりと気付かなかったモノが現実に突き立てられた―――   僕は同性愛者なのっ?   そんな事を考えたり悩む前に、どうしようもない程の悪意が僕に突き刺さってきた。   今の僕には、そっちの方が大問題だ…       その噂が校内に広まるのに時間は掛からなかった。   クラスは元より、同学年、上級生にまで噂は広がっていった。   何人かの仲の良い友達は、そんな噂は気にしないでいてくれてたから居場所はあった…   でも噂が広がっていくうちに… からかう人が出てくるうちに…   僕は一人   その仔達までがからかって、クスクスと笑う声が耳に入ってきた。   最初は、小さなこと  朝教室に行ったら 隣あった机がほんの少し離れていた。   すれ違うとき、異常だと思う程に距離をあけて通ってゆく… そして背中から、"危なかったぁ"笑い声に混じって聞こえてくる   "ホモがうつるぞぉ~"   "お前は外で着替えろよ"   次第に激しくなってゆく―――   きっと、   ナニも考えてなんてないんだ…   ただ、楽しいから   悪気なんかなくて   その場だけ笑えたら、皆それだけでよくて…   でも僕は…   その一言一言に傷ついて   何度も、教室から飛び出したくなって   …………   でも、行く所なんてないよ…   逃げ出す場所なんてないよ…   僕が持ってる世界なんて、見渡せる程にちっぽけなモノだから…
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