ルール

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生きる為のル―ル   その1"死にたいなぁ"そう思ったら、一つ針を進めること   その2 "生きてても意味ないじゃん"そう感じたら一つ針を進めること   その3 誰かの悪意に嫌気がさしたら、針を一つ進めること   その4 これらがいっぺんに来たとしたら、その回数分、針は進をめる   その5 逆に嬉しい事があったら針を一つ前に戻すこと   (救いも必要…それが救いかは分からないけどね…)   その6 針が零時を指した時、必ず実行すること   「おいおい、なんだよこれ ウケるんだけど   実行するって…死ぬって事かよ マジで笑ける」   "どうせ嘘だろ" そんな感じに思っていた。 冗談じゃないにしろ、本気で死にたい奴がこんな面倒な事はしないさっ そう…   んっ?   下まで目をやると、一番下に何やら続きが書いてある。       例外 万が一、僕の正体が誰かに知られた場合 時がくる前でも実行する事が許される。   「なんだよコイツ 死ぬなら早く死ねって」   そう言放った言葉に、罪悪感などカケラもなかった。 それが当人に届かないという理由や、本気に捉えていなかったとも言えるが……       だがそうは思いつつも、流華の中に小さな興味が沸き上がってきた。こんな事を考えるのはどんな奴なんだ?   ページを前にもどすと、目についた最新の日記に目が移った。       5月18日   今日は特にナニもナシ   学校行って   授業うけて   バカな奴らのバカな声が耳に入ってきただけ   収穫0パー   意味ないと思った回数… 針を五つ進めた       「ははははっ おいおい そんなんで進めんのかよ」     5月15日   今日は   周りの奴らの視線が相変わらずイヤだった。 (それでも無関心を装ってくれているから少し楽)   (この距離に僕も、奴らも安心してる)   針を五つ進める   そうだ あの人の…あの瞳がイヤだった。 だからもう一つ進める。     5月11日   今日は   少し嬉しい事があった。 朝校門で K先生が話し掛けてくれた。 誰もが僕と距離をとろうとするけど K先生だけは変わらずに接してくれる。   一つ針を戻した       ナゼだろう   本気に捉えていないはずの流華の中に、一瞬だけほっとした温かさが生まれ、すぐに消えていった。
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