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「おっはよ~う」
通学途中、流華は勢いよく肩を叩かれ、よろめきそうになりながら相手を見た。
同じクラスの佐々木亜希だった。
肩ごしに、少し長めの髪が顔に掛かり、朝から髪を洗って来たのか、ほのかにシャンプーの香りが漂ってきた。
亜希とは一年からの連れだ。
調子の良いヤツで、亜希の周りでは笑いがたえない。
誰からも好かれるタイプ。
そんなんで女子にも人気だが、実際は野郎にも好かれてる気があるかも。
男子の制服を着て無かったら、クラスの女子なんかより女に見えるしさ。
「ったく、朝からじゃれんな
オレはもっとクールな朝を求めてんだよ」
肩に掛けられた腕をイヤイヤそうにどかすと、重い瞼を擦りながら歩きだした。
亜希もなれているのか、そんな言動にも動じることもなく、流華の隣で話しを続けた。
「照れなくてもいいって❤」
「はぁ~?オレは朝から漫才するきはねェ~んだよ。
やるならピンでやってろ」
静かな朝に、亜希の笑い声が響く
「オレはこんなに愛してんのに♪ワラ
ってか
眠たそうだね?
寝不足?
夜遅くまでナニしてたん?
人に言えない事ぉ?」
明らかにナニかを含んでいる言いかたに、
「お前どこに行ってんだよ。
残念ながらお前の想像はハズレまくり」
「あらら
んじゃナニ?
まさか勉強って、朝から笑わせてくれるん♪」
少し口ごもりながら流華は一瞬だけ間を置いた。
…少年のblog
ただその事を話すのには、何ら問題は無かったのだが…
少し気になっている事があった
そしてその事が流華に小さな嘘をつかせた。
「ちょっとな」
嘘をつく
そんなモノには慣れていた。"ゲームをしてた"
"DVDを見ていた"
なんでも言い方はあったハズ…
なのに付いた言葉は…
自身の中にある
…小さな不安
それが嘘と真実の間で、こんな意味しんな言葉になって出てしまったのかもしれない……
「ふぅ~ん、
悩みがあるお年頃ってやつかぁ~」
そうは言ったものの、亜希もナニかに気づいた様子ではあった。
しかし、それ以上聞くことはしなかった。
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