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エリザベェータ様はシシルの女神様で。 ジャンは…確かリックが言っていた。 魔王の名前だと。 頭が混乱するばかりでついていけない。 あたしにはお父様とお母様がいる。 なのに、なぜ女神様と魔王の娘なんて話になるんだろう? 「……今は何もわからないだろうから、お城で答えを求めて。…だって。 ごめんなさい、リジーさん。あたし、やっぱり空耳なのかな?」 ミリィもわからないとでも言うように言ったけど、エスナはミリィを見て、その頭を横に振る。 エスナは頷くこと、否定することはできる。 あたしの言葉に、答えてくれる。 あたしの話をわかってくれている。 「……エスナ、魔王はあたしのお父様なの?」 あたしが聞くと、エスナは肯定も否定もしなかった。 その目はまっすぐにあたしを見る。 あたしに城で答えを求めろと言っている。 あなたは…何者なの?エスナ。 あたしたちの旅は、また城へ向けての旅となる。 厳しい寒さと、厳しい道なき急な山道。 登って下りてを繰り返す。 ミリィの村の人たちも近づかない、古くからある城。 そこに向かっている。 あたしの目の前、ペイがファームへと手を差し出す。 ミシェルがメリーを抱き上げる。 頭も心も体も。 変わらず、バラバラ。 ミシェルはメリーを引き上げたあと、レイに手を差し出して。 クリスはエスナの魔法の力を借りて。 あたしの目の前、差し出された手はペイのもの。 あたしがその手に手を重ねると、あたしの体を力強く引き上げる。 「よっ、と…。あー、もうっ。ゲルとダンっ、あいつらがいないせいで男二人しかいねぇしっ。必要以上にくたびれるっつぅのっ」 ペイには珍しく肩で息をつきながら、その場で少し休憩をする。 「ゲル?ダン?」 「前の旅の仲間。ミリィの村で聞いた話だと、あいつらも魔王の話を聞いて、二人で先に城に向かったらしい。一応、村から合図出したから、この先、もう少しで追いつくはずなんだけどな」 ペイはそこまで言うと、ぐっと大きく体を伸ばして、あたしの頭にぽんっとその手を乗せて。 「いくぞ。あと少し」 そう言葉をかけて、あたしの前を歩き出す。 あたしはしばらくその背中を眺めて、俯きがちに歩き出す。 あの言葉、もう一度、聞きたい。 好きだ。 空耳…だったのかな?
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