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帰路は街道沿いにリックと出会った町へ。
その町でゲルとダンとレイと別れる。
そう。今ここに集まっているみんなは、勇者様を迎えにいくためにそれぞれに集まってきただけであって。
またそれぞれの目的地へと歩いていく。
あ。ちなみに勇者様のお土産はゲルが持ってくれて、そのままゲルが持っていくことになった。
あれはさすがに重すぎて、シシルまで持って帰れない…。
「レイはシシルには一緒に帰らないの?」
「ええ。ここで少し用事を済ませてから、シシルへ帰らせていただきます。リジーさんとお話がたくさんできて、エリザベェータ様にも会えて、とてもいい旅でした。
エリザベス姫様に旅のご加護を」
レイはあたしに祈ってくれた。
ファームはその次のファームとレイと出会った町で別れて。
ペイとのことを何も気にした様子もなく、あっさりと手を振っていってしまった。
「また魔物造って、町を騒がせなきゃいいんだけどな」
なんてペイは心配していたけど。
心配するところはそこだけのようで、ペイもあっさりしている。
「ファームともう一回つきあうことにはならないの?」
あたしが聞いてみると、ペイはその口許に笑みを浮かべて、あたしをからかうように見てきた。
「言っただろ?もう一回、言われたいのか?」
なんて言われると、聞きたいとはとても言えない。
その言葉だけでじゅうぶんわかるから。
「あとはおまえが決めるだけだ。俺は別に急かすつもりもないけどな」
ペイはあたしの頭に軽く手をおくと、そのまま歩き出す。
答えは…でも…、あたしの中では…。
みんな、あたしが選べばいいとは言うけれど、選ぶなんてしてもいいのかもわからない。
だけど…。
ガゼルさんの住む町から船に乗る。
「お帰り、リジー」
城へいくと、マーメイドドレスを着たガゼルさんがそう言って迎えてくれた。
マスターは即位して王となり、立派に国を治め始めているらしい。
「ところでリジーはミシェルかペイ、どっちと結婚するんだい?」
なんて内緒話でもするように、ガゼルさんはあたしの耳に聞いてきて。
あたしは答える言葉に迷う。
「今すぐ答えなくてもいいさ。ただ、式には呼んで欲しいな」
「…何年後になるかもわかりませんよ?」
「リジーの晴れ姿が見たいだけ。楽しみに待ってるね」
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