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みんな、それぞれにそれぞれの目標を持って、次の目的地を目指している。
旅は終わりを告げても、人生はまだまだ終わりを告げない。
生きている限り、何かを目指して歩く。
すべての人が、どんなことがあっても…歩き続けている。
グリードは津波に飲まれたというのに、既に町はその機能を取り戻していて、港も動いていた。
お城へ立ち寄ると、優しくて厳しい女王様が迎えてくれて。
あたしを追って海際まできたはいいけど、港が壊れて動けず、そのままサラに気に入られて捕まったエリュシオンがいた。
あたしとエリュシオンの婚約は破棄となっているのだけど…。
エリュシオンはまだ諦めていなかったらしい。
グリードを早々に発とうとしたら追いかけてきた。
「お待ちください、姫っ。シシルまでお送りします」
「って、エリュシオン、あたしとの婚約は破棄なんだし、グリードの姫様のサラと結婚したほうが国の利益にもなりそうなんだけど?シシルよりグリードのほうが豊かなんだし」
あたしはエリュシオンに言ってあげる。
「姫がそこの盗賊風情と結ばれるのは納得できないっ」
って、ペイが睨まれている。
あたしが結婚当日にペイに目の前で持っていかれたことを相当恨んでいるようだ。
「エリュシオン、しつこいぞ、おまえ」
「いつの間にか姫のそばで共に旅をしたミシェル、貴様も許せないっ」
なんてエリュシオンとミシェルは顔見知りのようで。
ふと思い出すと、西の大陸の同年代、王子と姫が勢揃いしていた。
サラとレイラもいるし、イヴァンとメリーも含めて。
こんなことはめったにないだろう。
エリュシオンがミシェルに小言のような、説教のようなものを繰り返すのを、みんなが眺めている。
あたしも自分のことが原因ではあるけど、それをただ眺めていて。
肩にふれられて気がついて、あたしはペイとまた歩き出す。
だって終わりそうにないし。
シシルはまだまだ先だ。
「王子二人に求婚されていながら、おまえもよく盗賊についてくるよな」
何か呆れたように言われた。
「ミシェルから聞いたの?」
「おまえからは何も聞いていない」
「あたしもセレティさんのこと聞いてないけど?」
言ってみると、ペイはその目を丸くしてあたしを見る。
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