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「大丈夫。まったくもって大丈夫」
あたしは言い切った。
「…俺にはどう考えても俺が王室なんて似合うとも思えないけど」
「それを言うなら、あたしも王室なんて似合っていないし、ミシェルだってサラやレイラだってイヴァンだって似合ってないと思うよ」
あたしもそうだけど、みんな癖がありすぎる。
それでも王家に生まれたから、その道を歩く。
好きで王家に生まれたわけじゃない。
「……確かに。いや、けどなっ」
「あたしが欲しいって言って」
まだ受け入れないペイの言葉を止めるように、あたしは言ってやった。
ペイは思いきり悩んでいる。
「……欲しい…けど……」
「もれなく国がついてきます」
「……それがでかすぎるんだろっ」
「大丈夫。国には女神様と魔王の加護があるからペイが下手なことをしても潰れることはないよ」
「……魔王の加護はうれしいような、うれしくないような」
「うだうだと悩んでいるのはペイらしくないよ?あたしを選んでくれるのなら、覚悟、決めてよ」
あたしは…離さないけど。
ペイが無理だって断り続けても、あたしにはあなたしかいない。
あなたとしか、これから先の未来は歩いていけない。
「……俺を選んで後悔するなよ?」
「しないよ」
あたしは迷うことなく言って。
ペイはあたしの我が儘に負けたように笑って、もう一度、あたしの唇にキスをくれた。
「姫サマには負けた。現王に反対されたときには、…連れて逃げようか」
お父様が反対なさるとはとても思えないのだけど。
だってペイは世界を脅かす魔王を倒した勇者様ご一行の一人。
すごいことをしたとは相変わらず思っていないみたいだけど、まわりから見れば、それは大きな功績。
うん。でも…、その気持ちが欲しかったから。
すごくうれしい。
「よっしゃっ!ペイ、よく言ったっ」
「ペイ様、リジー様、おめでとうございますっ!」
なんていう大きな声に、あたしもペイも驚いて振り返ると、メリーとイヴァンが起きていて。
思いきり話を聞かれてしまっていた。
恥ずかしく思いながらも…うれしかったりして。
あたしは笑って、ペイは照れまくった。
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