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「死にたいの?」
私の前には見知らぬ少女が立っていた。
「もう1度聞くけど、死にたいの?」
彼女の口が同じ言葉を紡いだ。
す、と私に向かって指先を動かす。
「そんなに切れ味の悪い小さな刃物なんかで手首を切ったところで死なないわよ?」
彼女は言う。
…ああ、私はいつもの自傷癖でリスカしようとしていた所だったんだ。
少女の目がうっすらと笑う。
「死ねないと分かりながら自分を傷付けるのは何故かしら?自分の不幸をアピールしたいのかしら?それとも本当は死にたいのかしら?ねぇ、どうなの?」
ー教えて、と彼女の顔が、私に近付いた。
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