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「この状況、どう考える?」
男性が立ち去ってから暫くして、ザウバーはベネットの顔を覗き込んだ。この時、彼は平静を装っていたが、握り締めた拳は震えている。
「あの男、私が到着した時には死んでいた。恐らく、何者かが死体を操っていたのだろう」
ベネットは、そう返すと強く片目を瞑る。
「でも、あの人は動いてたし、喋ってもいたよ?」
ダームは、涙を浮かべながら問い掛ける。少年にとって、あの惨劇は酷過ぎたのであろうか、唇は絶え間なく震え、顔色は蒼白している。
「一先ず、ダームを休ませよう。このままでは余りにも」
少年の状態を見たベネットは、青年に提案した。すると、ザウバーは小さく頷き、少年を静かに抱きかかえた。
「とりあえず、さっきまで居た部屋に寝かせてくる。誰か来たら宜しくな」
彼は、ベネットにそう言い残すと、踵を返して歩き始めた。
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