並木道

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今、俺は新幹線の中にいる。 あの日、急に思い立った都会行き。 計画も、宛も、何もないけど、 行動せずには、いられなかった。 旅立ちの日、 親がもらした一言が嬉しかった。 『体に気をつけてな。』 何気ない一言。 でも、初めて俺に向けてくれた言葉のような気がした。 初めて、温かみを感じた。 俺に対して、全く興味が無いと思っていたから… 素直に、嬉しかった… ヤバイ、 泣きそうだ。。。 『行ってきます。』 涙をこらえ、言えた言葉は、これだけだった。 《今まで、ありがとう》 この気持ちを込め言った一言…   【行ってきます】 伝わったかな… 伝わってるよね… きっと… 駅までの道のり、 涙を拭きながら進んだ。 駅に着く頃には、気持ちも落ち着いた。 気持ちを切り替え、 よし、再出発だ! 新幹線に乗ると、都会の事で頭がいっぱいになった。 向こうに着けばきっと何かがある。 やりたい事、夢や希望、 何もかも。 つい最近までは、何をしても物足りなくて、苛々していたのに。 今は、都会の事を考えるだけでワクワクする。 こんな事初めてだ。 興奮が押さえきれない。 《あぁ、早く着かないかな。》  
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