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勇斗は黙っていた。
電話の相手が母親ではなかったからではない。
電話の相手の声がわからなかったからではない。
電話の相手が自分の名前を知っているからではない。
ただ、勇斗の本能と言うべきものが『喋ってはいけない』と勇斗に発していたからである。
「どうしました?火向勇斗さん」
「……………………」
「聞こえてますよね?火向勇斗さん」
「……………………」
「何か喋って下さいよ。火向勇斗さん」
電話の相手は何度も何度も勇斗に話し掛けてくる。だがそれでも勇斗は黙っていた。
「………………………」
「………………………」
再び相手も沈黙をし始めた。
何分こうしているのか。何分こうしなきゃいけないのか。
沈黙についに耐えられなくなり勇斗は……
「……あんた……誰なんだ?」
と、ついに『答え』てしまった。
すると相手は……
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