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其処には小さな少女がいた。忙しなく店内を掃除している。
中学生なのか、少し大きめのセーラー服を着て。
黒いおかっぱの髪が、扉から吹いてきた風でさらさらとそよぐ。
その少女の横には背の高い女の人がいた。
その女性はとても素敵な低音で喋っていた。
訂正。多分男。
セーラー服の少女こそがこの店の店主、ありす。
ありすの隣にべったりくっついているのはありすの父、ルシファー。
金髪の透き通った髪を上に結い上げた、大柄な、それでいて細身の中性的な顔つきな男性が綿帽子を被って叩きをもつ姿は異様の言葉につきる。
「ついてくんな馬鹿親父が。」
「えぇっ!!ひどぉいありすちゃんっ」
「近付くな変態。」
その小さな体と可愛らしい顔つきからは到底予想出来ないような荒い言葉使いでありすは父を貶した。ローキックまでかましている。
「まぁまぁアリス。」
親子が戯れて(?)いると従業員らしき人間が奧から声をかけた。
名は黒兎恋白[コクトレハク]。
黒髪に赤い瞳、和服が似合うで有ろう端整な顔立ちのなんとも妖艶な美女である。
だが着ている服はロココ調を思わせるような丈の短いドレス、所謂ゴシックと言うもの。和服とは程遠い。
骨董品店[おとぎの国]の個性的な従業員と店主の深い話もしたいのだが、今回はこの辺で止めておこう。
さぁ開店だ。
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