ver,橋本笑美

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5月上旬。午前8時25分 校門前 「ねー都古ー」 「ん?どした?」 「彼氏ほーしーいー」 「あんた昨日も合コン行ってたじゃない」 「あーダメ。笑美のタイプいないもん」 「笑美あんたね、少しは妥協ってもんを覚えなさいよ。折角いい顔して産まれてきたのにそんなにばっさり一刀両断してたら寄ってくるもんも逃げてく」 「笑美、これでも十分妥協してるよ? あ、そうだ!今日も学校終わったら駅前で遊ばない?」 「いいわよ。小母さんに遅くなるって連絡しなきゃ…」 「じゃあ後でね!」 「はいはい。」 都古ちゃんは今日何度目かの溜息をつきながらひらひらと手を振ってる。 私は始業のチャイムを聞く前に教室に入り、自分の席に着く。 都古ちゃんは六組、私は二組だ。 近くのクラスメイトと挨拶を交わし、担任が入ってきて、ホームルーム。 終われば体育だから直ぐに更衣室に直行しないと。 髪の毛をツインテールにしているから着替えに余計な時間がかかるんだよね… 放課後の予定に心を踊らせながら先生の話を受け流す。 1年の時の担任の方が格好よかったなと思うけど、今の担任の方が物分かりの良い人だから好感をもてる。 もっとも、1年の頃は俳優の白兎恋黒[ハクトレンゴク]に首ったけで、周りの男に興味無かったから元担任の顔なんて覚えてない。(だって他の学校に転任しちゃったし。) あの頃は恋黒しか見えなくて、それこそ恋してるのも、理想の男性も全て恋黒だった。それはもう恋黒がスキだと言うぱっちり二重になるようにメイクを毎晩勉強した位(元々目は大きい方だけど瞼は奥二重なの) それなのに恋黒は突然消えてしまった。ホントに突然。マネージャーも分からない。雲隠れ。 都古が居なかったら私まで永遠に雲隠れしてしまいそうだった。 半年経ってやっと恋黒中毒も治まりつつあ「笑美ちゃん?先に行くよー」 「あ、待ってよう!」
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