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制服に身を包み部屋を出て一階へと降りて行った人物は,システムキッチンにやってきて弁当と朝食を手際良く作っていった。
その人物とは,藍堂 朔(アイドウ サク)。今年で高校二年生になった十六歳だ。
フライパンを前後に振るたび揺れる襟足程まで伸びた蜂蜜色の髪は父親譲りのものだった。
「よっ…と。」
フライパンを振るう細い腕は朔の小柄さを示していた。高校に入ったので背が伸びると期待していたが164㎝でピタリと身長が止まってしまったのだった。
「良い出来だ。」
嬉しそうに微笑む二重で大きめな色素の薄い茶色の瞳を蜂蜜色の長い睫が覆っていた。
色が白い朔の頬は調理の際に発生する熱気でいつもより濃い桜色になっており,味見をした唇は綺麗な三日月を描き,同じく桜色をしていた。
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