II.異星の地

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「加えて、彼らが次に立て籠ろうと予想される範囲内には、こんな物がある」  言いながらスミスは、がさがさと事件現場地区の拡大地図を広げた。  観光名所となっている山岳地帯と湖畔、そして周辺部分を埋める大規模な商品作物生産プラントが点在しているのが解る。 「さて、仮に君が犯人だとして順当に考えて、ホテルから離脱した場合どこへ向かうかな?」  問われると同時に、デイヴィットは地図には描かれていない、フォボスの全域図のデータを引っ張り出した。そして、確認するように、小声でつぶやく。 「北には、Mカンパニーの関連地域。東に宇宙港と首都。東南が……M.I.B.の、拠点……」  それから、デイヴィットは改めて、拡大図に視線を落とす。そして、それはある一点で固まった。 「とりあえず補給が必要になるので、本拠地の近くを目指すと思います。ですが……」  すい、とデイヴィットは地図上に手を伸ばす。ホテルから東南へと抜けるそのルートには、湖から流れ落ちる滝と、長期滞在を目的とした病院があった。 「この滝は、プラントの用水路に流れ込んでいます。万一湖をせき止める人造の崖が決壊すれば、プラントの被害は……」 「逃亡中、腹いせに破壊する可能性は、かなり高いだろうな」  薄笑いを浮かべるスミス。が、デイヴィットは未だ地図を睨み付けていた。
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