VI.疑問

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 果たしてその違和感はどこから発生しているのだろうか。  デイヴィットは思考回路をフル回転させる。そしてある結論にたどり着いた。 「ですが、我々『doll』の除籍と、少佐殿の除籍は、根本的に異なると思います」 「……どういうことかな?」  かすかにスミスは、唇の端に微笑を閃かせる。  痛いほどに視線を感じながら、デイヴィットは続けた。 「我々は処分されれば、それで終わりです。後には何も残らない。ですが、少佐殿……ヒトが除籍された場合、その痕跡は必ずこの世界のどこかに残ります。……家族や友人を持たないヒトは、いないでしょうから」  一気に言ってしまってから、デイヴィットは恐る恐るスミスの顔を見やる。  そこには、件の笑みはなかった。  やはり、的はずれなことを言ってしまったのだろうか。  緊張した面持ちのまま、デイヴィットは返答を待つ。  長くて短い静寂を、スミスは静かな声で切り裂いた。 「……なるほど。君らの存在は、どうあがいても『虚無』と言う訳か」  ようやくの答に、デイヴィットは神妙な表情でうなずいた。それを確認してから、スミスは視線を室内に泳がせた。 「しかし、君には一つ失念していることがある」 「どういうことでしょうか?」  話が見えず、首をかしげるデイヴィット。  その反応をどう取ったかは定かではないが、スミスは改めてデイヴィットに視線を固定した。
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