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近江。
「長政、縁談が決まって
良かったのう。」
「これは父上…良き縁談、感謝致しますぞ。」
父である久政が、声をかけてきた。何を隠そう、浅井と織田との縁談は、この父が話し合ったことなのである。
「しかし、織田家の姫を
娶ることになろうとは…
先の戦で大勝した、あの
冷酷非情な信長の妹か…」
一抹の不安を口にする久政。妹もやはり、無慈悲な女子[おなご]なのであろうか?
「織田殿の妹であるから、そのような気質であるとは限りますまい。」
「そうじゃな。何にせよ、我が浅井家が発展する要因と考えられよう。喜ばしいことだ。」
そう呟き、久政は去っていった。
(あの信長の妹…如何様な女子だろうか…)
お市と長政。それぞれの
想いを他所に、婚礼の日は近付いてきたのだった。
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