ACTプロローグ~部屋の訪問者~

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蛙が産卵のためか、交尾のためか、どこで鳴いている…。 夜のこの時間が一人暮らしの私にとってとても嫌な時間だ…日は落ちているにも関わらず、夜だと言うのに暑苦しい。布団を掛けるなど、灼熱地獄以外のなにものでもない。 そう、今年の夏はいつもと違い激しい猛暑が長く続いたせいで、熱帯夜も続いていた。 そして、ある日から、私の部屋に異変が起こった。 いつも以上にこの日は、暑く、とても寝ることができる状態ではなかった。そんな日に、“奴”は姿を現した。 電気は、チカチカと点滅し、何かに吸われるように電気の灯りが消えて、辺りは、真っ暗な闇に呑まれた。そして、その時がきた。 ずず…ずず…ずずず… という、何かの擦れる音…ふと気がつくと私は、音のする方を見ていた。しばらくすると、音は、ピタリと止まり、ただ置き時計の音だけが脈打っていた。 しばらくして電気がチカチカとまた灯り、安心した私が床を見るとそこには、血の引きずった跡だけが残っていた。 こんなことは、今までに一度もなかったため、暑さで幻覚でもみたのだろうと思い布団に倒れ込むと不思議と眠りの世界におちた。 朝になってみると、血の跡は、すっかりなくなり、やはり幻覚なのだと私は確信したが、これが悪夢の始まりだったことに、私はまだ知る由もなかった…。
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