見えない光

2/18
5773人が本棚に入れています
本棚に追加
/756ページ
「あんた達、家出したんだろう?」 無我夢中で列車に乗り、あても無く彷徨い続けて3日。 空腹と秋の澄み切った冷たい空気に限界を感じ、繁華街の路地裏で座り込んでいた。 もう、このまま死んでしまうのかと思っていたら、前に小さい老婆が立っていた。 「うちにおいで!あんた達みたいな家出した子、イッパイいるから!暖かい所でご飯食べなさい」 小さい老婆は、細い折れそうな萎びた手で、私達を強引に引っ張った。 ――暖かい所でご飯―― 今の私達には何より魅力的な言葉。 フラフラとしながら老婆に着いて行った。 世の中、まだまだ優しい人はいるんだと思った。
/756ページ

最初のコメントを投稿しよう!