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「ここで飯を食いたいなら、ここで働いてもらうよ。さっそく飯代を貰わないといけないからね」
私達が箸を置くと、とたんに老婆の態度は冷たくなった。
「…働くって……?」
「ここで生きていくには身を売るしかないよ!それがイヤなら野垂れ死にな!どうせ、行くあてもないんだろう?」
恐ろしい世界に足を踏み入れてしまったと、恐怖で身震いしてしまった。
だけども、老婆の言う事は的を射ていた。
私達には、生きていく術がない。
このままじゃ野垂れ死ぬ。
「無理にとは言わないよ!外に出ればあんた達みたいな未成年は警察に補導されて、たちまち家に連れて帰られるねぇ」
家…警察…
家に連れて行かれたら私はあの悪魔に殺されてしまう。
それどころか、あいつは死んでしまってて、私は警察に連れて行かれて牢屋に入れられるかもしれない。
ここにいても辛いだろう。
だけど外に出たらもっと地獄。
どのみち、逃げ場はない。
生きるか死ぬか。
私は姉と顔を見合わせた。
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