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「……ここで働かせて下さい。だけど……」
私が口を開く前に、姉が口を開いた。
「だけど、なんだい?」
ピクリと眉を吊り上げて、老婆は姉を睨んだ。
「妹の分まで働くので、妹には仕事させないで下さい。妹はまだ…中学生なんです!!」
「お姉ちゃ…」
「あんたは黙ってて!」
ピシャリと姉に止められ何も言えなくなる。
「…まぁ、いいだろう。
この子は売るには若すぎて危険だしね。その代わり、あんたが稼ぐんだよ!妹の方が器量がいいから金になりそうなのに…。残念だねぇ…」
私の顎をグイッと引き上げ、顔をマジマジと見る老婆。
皺くちゃの手に嫌悪感を抱き、払いのける。
「アハハ!こりゃ気も強いねこの子は!まぁ、妹の方はここで雑用をしな!」
私を軽くあしらい、老婆はどこかへ電話を掛け、姉を部屋から連れ出した。
「心配しないで」
姉はそう言って笑っていた。
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