見えない光

5/18
前へ
/756ページ
次へ
「……ここで働かせて下さい。だけど……」 私が口を開く前に、姉が口を開いた。 「だけど、なんだい?」 ピクリと眉を吊り上げて、老婆は姉を睨んだ。 「妹の分まで働くので、妹には仕事させないで下さい。妹はまだ…中学生なんです!!」 「お姉ちゃ…」 「あんたは黙ってて!」 ピシャリと姉に止められ何も言えなくなる。 「…まぁ、いいだろう。 この子は売るには若すぎて危険だしね。その代わり、あんたが稼ぐんだよ!妹の方が器量がいいから金になりそうなのに…。残念だねぇ…」 私の顎をグイッと引き上げ、顔をマジマジと見る老婆。 皺くちゃの手に嫌悪感を抱き、払いのける。 「アハハ!こりゃ気も強いねこの子は!まぁ、妹の方はここで雑用をしな!」 私を軽くあしらい、老婆はどこかへ電話を掛け、姉を部屋から連れ出した。 「心配しないで」 姉はそう言って笑っていた。
/756ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5779人が本棚に入れています
本棚に追加