見えない光

7/18
前へ
/756ページ
次へ
「私達って、どうして生まれてきたんだろうね」 ある日、姉に聞いてみた。 姉は何も言わないまま、くわえていたタバコを消した。 「一生分かんないよ。誰にも」 そういってタバコの臭いを消すように、ブランド物の香水を何回もふりかけた。 「行って来る」 バタンとドアの閉まる音と共に、姉の残り香だけに包まれた部屋に一人になった。 最近、姉は変わった。 タバコを吸うようになって、髪も茶髪、ブランド物を身につけて、『イマドキ』になった。 出勤時間前から出て、朝まで帰って来ない。 老婆が姉の事を1番の稼ぎ頭だと言っていた。 そして、姉の変化はそれだけじゃなかった。 私に冷たくなった。
/756ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5779人が本棚に入れています
本棚に追加