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『またモミジに会いに来てね』
『良かった、来てくれて』
夕日に照らされ朱く染まる、小さな診療所。
仲睦まじい、動物達。
笑い合う、私達の穏やかな時間。
『生きるって事は、楽しい事ばかりじゃないよね』
『何年たっても、母を思い出すと涙が出ると思う』
青白い大きな月。
飲み込まれそうな程漆黒の海。
何もかも忘れたいのに、逆流するように溢れ出す思い出。
頭が痛い。
グチャグチャの髪の毛をまさぐるように頭を抑え、目を閉じる。
「…っ!!」
喉が痛くて、心も痛くて、ズキンズキンと突き刺すような痛みに耐えかね、手元にあったリモコンを握った。
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